鎌倉旅する仕事場

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INTERVIEW旅するインタビュー

山上 剛 2017年03月30日

林業系WEBデザイナー

>本日はよろしくお願いいたします

山上さん(以下敬称略)「よろしくお願いします」

>まず、お仕事はどんなことをなさっているか、メインとサブをあわせて具体的に教えてください

山上「仕事はWEBデザイナーで、主にHPを作ったりしています」

>名刺の肩書きには、林業系WEBデザイナーとありますね

山上「はい。一次産業とか林業とかにフォーカスを当ててやっていこうかなと思っているのと、プラス、自分でも副業的に林業をしていけたら嬉しいので、この肩書きにしました」

>北鎌倉でも、里山関係のボランティア活動をなさっていると伺いました

山上「はい、北鎌倉の里山を保全するボランティア活動をしています。ほかには音楽をやったりしていますが、音楽は最近あまり収益がないですね(笑)。なので、音楽は割と休んでいます」

>今は副業が林業、ということですか?

山上「里山はあくまでボランティアで、また、保全活動なので林業と呼べるものではありません。それに、どちらにしても、まだ副業といえるレベルには達してないです。ただ、最近では、林業関係、一次産業関係のHP制作の仕事はたまにもらっています」

>ほかにもお皿を作って販売なさっているとか

山上「こちらは里山ボランティアに関係があります。保全活動で伐採した鎌倉の間伐材を使って商品開発をしようという試みがあり、そちらも手がけています」

>そのあたりは興味深いお話を聞かせていただけそうですので、あとでじっくり伺いますね。さて、HP制作、林業、音楽をお仕事になさっているとのことですが、時間的な配分はどのようなものでしょうか?

山上「基本はHP制作(林業関係を含めて)7、林業関係2、音楽は1か0.5くらいです」

山上剛さんインタビュー写真

>WEBに関してはほかの方にもお話を伺っていますので、今回は林業についてクローズアップさせてください。林業に興味を持ったきっかけは何ですか?

山上「昔から一次産業に興味がありました。仕事でパソコンばかりやっていたので……農業や物作りに関心があって、僕は自分の靴をワークショップで作ったこともあるんです」

>靴ですか! すごいですね

山上「革靴で、もう十年以上……今でも履いています。手作りとか、木に触ったり、土をいじったり、デジタル上だけでなくリアルの世界に残るものや一次産業にいずれつっこんでいきたいと思っていました。震災とかもあってそういうことが大事かなと思うようになってきましたし、僕も40くらいになって、そろそろそういうことをやってみたいなと思って。それで色々調べてみたら、林業は面白そうだぞと」

>それでも、WEBから林業への転職とはならなかったわけですね

山上「これから森林組合に入ったとして、就職口はあると思うけど、月給的にはやっていけないかもしれない。それなら、WEBデザイナーをしながら副業的に林業に踏み込んでいこうと思いました」

>現状として、副業にすることは可能なのですか?

山上「今、そのスタイルを可能にしようという協会(自伐型林業推進協会)があるんですよ。副業的に林業をしながら、やっていこうと」
※自伐型林業とは……持ち山もしくは地域の山を持続管理して長期的な収益を出す、小規模かつ自営業的な林業スタイルのこと。環境共生型林業としても注目を浴びています。
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>ちなみに、WEBデザイナーとして独立する前は、会社勤めをなさっていたのでしょうか?

山上「神宮前の会社に三年くらいいて、それからはずっとフリーランスですね。途中でバイトをしたりしましたが、基本はフリーです」

>林業に関心を持ったのは、震災後だから5、6年前のお話ですね

山上「2012年末くらいから関係する研修を受けて、鎌倉でもそういうボランティアがあると聞きました。それで紹介してもらって、北鎌倉の六国見山の里山連合会の方を紹介していただき、里山保全の活動に加わるようになりました。それからほかの地域にも行くようになり、自伐型林業というものを知り、そこでシンポジウムに参加するようになりました」

>林業のイメージとは、地主さんが山を持っていて、そこから木材を切り出して販売するというものが一般的だと思いますが、副業的ということは、どこかの山に入らせてもらうのでしょうか?

山上「色々な事例があります。たとえば、実際に山を持っている人は冬だけ山の仕事をして、それがないときはたとえばみかん農家をしたり、夏はカヌーのインストラクターをやって、冬は林業という方もいらっしゃいます。僕はまだ実際の林業に踏み込んでいるわけではないのですが、WEBデザイナーとしても、ただのWEBデザイナーでは面白みがないなと感じていました。そこで自分の職業に一つ林業という『味』をつけてみたら、仕事に幅が出て面白くなってきたなと思っています」

>メインのWEBの仕事にもプラスの効果が出ているということですね?

山上「はい。今の段階では林業のみで暮らすのは難しいですし、WEBデザイナーという強みがあるので、それをもってスキルアップしていくのが理想かなと思っています」

>先ほどお皿の話が出ましたが、北鎌倉の里山ボランティアで伐採した間伐材の利用をここ1年くらいなさっているそうですね

山上「木は持ち出してもお金になるわけではなくて、かえって、搬出に何万円という費用がかかります。放置しておけばいつかは土に還りますが、北鎌倉の木は商品価値はなくても、ただ山に捨てておくのはちょっともったいない気がして。捨てるくらいなら利用できないかと、たとえばアロマオイルを作ったり、薄くスライスして使い捨てのお皿のようなものにしたりして売っている方もいます。僕も何か利用できればと思っていたところ、ファブラボの方に出会いました」

>ファブラボといえば、鎌倉にもありますね

山上「ええ。基本的に木は丸太にして垂直に使う分にはいいんですが、輪切りにすると乾燥したときにぱかっと割れちゃうんです。それを、割れないように安定させる技術をお持ちの方がファブラボにいたので、せっかく木と技術の双方が揃ってるから、何かやってみようということで鎌倉の木の商品化を企画しました。
里山ボランティアは若干の助成金などを調達しているようですが、基本的な活動費用は自分たちの負担で持ち出しです。お皿が売れることで少しでも活動の足しになったり、脚光を浴びてボランティアに加わってくれる人が出てくれればという実験の意味合いもあり、販売プロジェクトを始めることにしました」

>鎌倉での活動に積極的に参加なさっていますが、山上さんはもともとは地元ご出身ですか?

山上「実家が大船で就職のときに東京に出ましたが、子供が生まれたので鎌倉に引っ越してきました」

>将来奥さんやお子さんと一緒に林業をなさる可能性はあるのでしょうか?

山上「ないですね。子供も山とか自然には興味ないみたいです(笑)。」

>それはちょっぴり残念ですね。ところで、林業や一次産業にフォーカスを当てたWEBデザインというのは、どういうお仕事を具体的にしていますか?

山上「前述の協会のサイト作成/運用だったり、調査など事務局の手伝いをしています。ほかにも地域おこし協力隊のサイト作りの依頼を受けたりしています。また、たとえば、仕事場の方にそういう仕事があるから一緒にやろうと誘われたり、チェーンソー屋さんに行けばWEBサイトを作るときは相談しますと言われたり。林業系と名刺に書いておくだけで少し興味をもってもらえるケースがよくあります。まあ現段階では林業関係のデザイン仕事はそれほど多くないのですが、キャラ作りといった意味でも今後も林業系WEBデザイナーは名乗っていきたいと思っています。」

>次は仕事場に関してです。どういうペースで出勤なさってますか?

山上「林業関係が忙しいときは来られないですが、WEBの仕事は家ではあまり集中してできないので、フリー席を借りて通っています。大体週に3~4日です」

>通勤時間はどれくらいですか?

山上「通勤は自転車で20~25分。バスだと本数も多いですが、30分以上かかりますね。大体10時くらいに来て、5時くらいに帰ります」

>移転した御成オフィスはどうですか?

山上「環境的には若宮オフィスのほうがいいですね。でも、自転車通勤するときは御成オフィスのほうがいいです。それに、御成は内装や備品などの新品の匂いがいいですね。もっと人気が出て混んできたときが心配ですが、僕はフリーなのでその都度その都度やっていきます」

>仕事場を借りてよかったこと、メリットを教えてください

山上「集中できること。それから、ほかの人の技術を教わったり、仕事を紹介してもらえることです」

>逆に悪い点、デメリットはありますか?

山上「特にありません。若宮オフィスでは会議室の声がたまに聞こえることはありましたが、それくらいですね。施設的なことについては、見てから借りていますから」

>最後に、今後の目標を教えてください

山上「林業系WEBデザイナーを地でいきたいので、デザインの年間の収益でもっと林業・一次産業系の比率を上げていきたいですね。できれば半分くらい。そして副業の林業も収益化していき、将来的には山だけでやっていきたいですね。」

>とても興味深いお話を、どうもありがとうございました

【インタビューアー:七尾 すず】

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