鎌倉旅する仕事場

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INTERVIEW旅するインタビュー

渡辺 みさき 2016年03月30日

鎌倉をもっと「働く街」にしていきたい。

>本日はよろしくお願いいたします。まずは自己紹介がてら会社名をお伺いできますでしょうか。

渡辺:渡辺みさきです。会社名はまだない、という感じで、会社をこれからちゃんと登録し、始める予定での準備期間中です。今はこのシェアオフィスを借り、だいたい一年のあいだにどういうことを、どのくらいのことができるのかを調査し、絞り込んでいる最中です。

>渡辺さんは以前は、大手メーカーで人事や経営企画の仕事をなさっていたそうですね。そこを退職し、独立なさったそうですが、具体的にはこれからどのような仕事をするご予定なのでしょうか?

渡辺:一言でいいますと、「人事サービスを提供したい」と考えています。
対象は社員数が十人から三十人くらいの小規模な会社です。 たとえば、大企業なら福利厚生が充実していて、小さいところはいまいちだというイメージがありますよね。社員数が五十人以上のある程度の規模の会社では、人事担当者を一人、専任で置くのは難しくはありません。しかし、小規模の会社では、専任者を設けると会社にとっての負担が大きくなってしまいます。
だからといって、人事の仕事は『なくてもいい』ものではなく、『あったほうがいい』いや、なくてはならないものとして考えています。というのも、社員が働きやすい会社を作るためには欠かせない仕事だからです。

>少し漠然とした印象ですので、具体的には、どのようなサービスを提供なさるのか詳しく教えていただけませんか?

渡辺:人事の業務内容は、『採用』『研修』などのわかりやすいものから、一般の方にはイメージしづらい『労務』『異動の考え方』『評価』『福利厚生』まで様々です。  たとえば、評価制度は十人くらいの規模なら社長が直に評価できるかもしれませんが、人数が増えていくに従って難しくなることも考えられます。
会社はあるときを境に急に大きくなることもありますが、そのときに基盤を作り始めるのでは、間に合わないこともあります。将来を見越した経営のために、早い時期に基盤を作って置くのは重要だと考えています。また、どこの会社でも困っている採用や、福利厚生の充実をお手伝いしたいと思っています。
ほかにも重要なものの一つとして挙げられるのは、労務関係>一番わかりやすいのは残業の管理ですね。残業時間の長い会社だと社員が心身共に疲れてきて、ストレスになってある日突然辞めてしまいかねません。そうした労働環境の整備は法律で義務づけられていますが、たとえばセクハラやパワハラが社会問題になるなど、個々の職場の労働環境にはばらつきがあります。
また、法的な問題にはなりませんが、職場に合わない上司がいるだけで仕事の効率が落ちることもあるでしょう。それらを個人面談で確認し、拾っていければ、労働環境の改善に繋がるはずです。

>会社で働く方々にはかなり密着した内容の仕事をなさるわけですね。小規模の会社ではこれだけの業務を行う人間を置けないというのは考えさせられます。最後におっしゃった個人面談とは、どのようなことをなさるのですか?

渡辺:つまり、社員の方への個人面談です。大きな会社は人事が駆け込み寺のような機能も担っていて、たとえば上司のパワハラを訴えることもできるのです。ですが、小さな会社は何かトラブルがあっても吐き出す場所がなく、社長に直に訴えなければならないかもしれません。環境にストレスを感じる社員が、ある日突然辞めてしまうことも考えられます。そうした内容を、仕事の評価とは関係ない第三者が聞き取って面談することで微調整をし、円滑な社内運営をできるのではないかと考えています。
ただ吐き出すだけであっても、社員の不満のガス抜きをできるかもしれませんし、経営側にとっては大切な社員に突然辞められてしまうというリスクを避けられます。仮に千人規模の会社で一人辞められてしまっても何とかやりくりはできるかもしれませんが、十人の会社で一人辞めたときの損失は計り知れないものがあります。それを前もって避けるために、人事面談などを行い、社員が働きやすい環境を作りたいと思っています。

>このお仕事は、鎌倉の企業を対象にしているのでしょうか?

渡辺:まずは鎌倉から始め、いずれ地方展開できたら一番いいのではないかと思っています。働きやすい環境、会社があれば皆が地元で働いてくれるのではないかと考えていますので、職住接近を実現するお手伝いができれば嬉しいです。

鎌倉で働くことで、地元愛が強くなりました。

ミーティングの様子

>次に、渡辺さんご自身のシェアオフィスでの働き方を伺います。この『旅する仕事場』を知ったのはどのようなきっかけですか?

渡辺:カマコンという団体(鎌倉を拠点とする企業による協同プロジェクト「カマコン」)に入っていましたので、そのときにこのシェアオフィスの運営をする敏蔭さんと知り合い、存在は知っていました。また、旅する仕事場で、カマコンのプロジェクトミーティングをすることもありましたので、オフィスに来たこともあります。
独立を決めたとき、鎌倉に住んでいるためあまり遠くにまで行くことは考えていませんでした。家の近所にもシェアオフィスがあるのですが、近すぎるのもあまりよくないと思い、徒歩圏内でちょうどいい距離にあるこの仕事場に決めました。

 >グッドデザイン賞も受けたオフィスですが、このシェアオフィスの魅力はどこにあるとお考えでしょうか?

渡辺:広さがあるのがすごく魅力的です。ミーティングもできますし、広いからこそ借り手が多く、人の出入りがあります(※2016年5月現在32人)。たくさんの人がいれば、その方たちと関わることで情報を得られますし、自宅だけでの作業だと煮詰まる部分も解消できたりするんですよね。

 >確かに、何気ないあいさつをするだけでも気分転換になったりしますよね。このシェアオフィスを借りたことが、何か新しい仕事に繋がったりしていますか?

渡辺:まだ仕事をスタートしていませんので、このオフィスを借りたことで直接的な仕事に活かせたことはあまりないのですが、会社のホームページの作成をANTzにお願いしています。同じオフィスにいますので、ミーティングをするのがすごく楽です(笑い)。

 >逆に、シェアオフィスのデメリットはありますか?

渡辺:デメリットは今のところ思いつかないですね。席によっては日当たりがよすぎることくらいでしょうか(笑い)。確かに自宅でやればコストはほぼゼロですので、シェアオフィスを借りた分費用は生じるかもしれませんが、その費用を補ってあまりあるメリットがあると感じています。

ミーティングの様子

>シェアオフィスを借りたことによる、生活の変化はありますか?

渡辺:以前の勤務先が都内だったので通勤時間が格段に短くなり、電車の遅延や車内でのストレスなど、そういった通勤にまつわるストレスがゼロになりました。そもそも今は徒歩圏内ですので、電車に乗る必要もありません。
通勤時間が短縮されたことで、睡眠時間が長くなりました。会社員時代は四、五時間がせいぜいでしたのに、今は六時間以上たっぷり取れます。会社員時代もそれなりに規則正しい生活でしたが、食事時間が遅かったりしましたので、今はそのリズムがより人間らしいものになりました。 また、こうして職住接近になったことで、自分の住んでいる場所のことがわかるようになりました。

>具体的には、どのような点でしょうか?

以前は、鎌倉には平日でしたら早朝か夜遅くしかいなくて、昼間いられるのはほぼ土日だけでしたし、その土日にも都心に出ることが多かったです。  それが今では地元で新しいお店ができたことを知ったり、自分の住んでいるところではこういうことが起きていると、わかるようになりました。住んでいるところを好きなほうがいいですし、楽しいほうがいいと思いますので、地元愛が強くなったと感じています。前は土日でも都内に行っていたのですが、このところは週末は鎌倉に来てもらってみんなを案内しています。このシェアオフィスも結構皆に紹介しています(笑い)。
今朝も来るとき花の香りがすると気づいたり、都心のビルの中ではわからないようなことも肌で感じられるようになりました。
カマコンに関しても月に一度の定例会に出席するくらいだったのですが、カマコンの活動にも時間をかけられるようになりました。

>独立をし、シェアオフィスを借りたことでいいサイクルができたということですね。最後に、これからの目標などをお願いします。

渡辺:鎌倉で一年間準備しているあいだに、ここをもっと『働くまち鎌倉』にしたいと思うようになりました。この一年でいろいろな方に知り合い、鎌倉で活動している方とも多く知り合いました。やはりまだまだ人財が眠っていると思いますし、都内に働きにいっている人も多く、疲弊している方もいると感じます。企業も鎌倉にサテライトオフィスを設置したり、シェアオフィスを利用して働くことを考えてもいいのではないか、と思っています。
私は子育てにも職住接近がいいと思いますので、シェアオフィスをもっともっと活用すれば、男女問わず皆が豊に暮らせるのではないかと思っています。
今は鎌倉イコール観光地、寺社仏閣のイメージだと思いますが、住むのにも住みやすいところだと考えています。都内にも電車で一時間ですので、仕事の打ち合わせで出かけることも難しくありません。鎌倉で人事サービスを提供することで、今よりも「職住接近」を身近にして、もっと鎌倉を働くまち、住む街にしていきたいと考えています。

 

>鎌倉から働き方を変えるというのは、素晴らしい試みだと思います。
本日はありがとうございました。

【インタビューアー:七尾 すず】

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